お読みいただきありがとうございます。
もし、このブログに初めてお越しの方は、まず下記の記事から読んでいただくことをおススメします。

この記事は筆者の体験をもとに書いていますが、日時や細かな状況など、個人を特定される恐れのある事柄にはフェイクが混ざっておりますことをご了承ください。


実名報道

勾留されていた間、外での出来事がまったく入ってこないかというと、そうでもありません。
2日目の午前中、取り調べを終えると私のところに新聞が回ってきました、
勾留部屋の相棒はすでに読み終えていたらしく、新聞を手にした私に
「消されてた記事があったから、きっとあんたのことだね」
と教えてくれました。早速めくってみると、確かに文字が削がれている記事が1つ見つかりました。
この時点で、自分の事件に関する報道があったことを知りました。

釈放されてから、妻に実名での報道があったことを知らされました。
自分では怖くて見れませんでしたが、検索サイトのネット記事がいくつかあり、辛辣なコメントが書き込まれていたそうです。
自業自得ですから、仕方ありません。
ちなみに、不起訴処分になったときも報道されましたが、こちらは実名は載っていませんでした。

こうした報道記事自体は、数カ月すれば消えていくのですが、記事やニュースを転載している個人のブログが複数あり、これが残ってしまいます。
これが最も実害の大きいところです。
今でも、実名で検索すると、こうした類のブログが1ページ目に上がってきます。
こちらとしては、不起訴になったこともしっかりと載せてほしいと思うのですが、当然、そんなことはしてくれず、盗撮で逮捕!という内容だけが永遠に残るわけです。

さらに、もし実名やすぐに身バレしてしまうような形でインスタやFacebook、Twitterなんかをやっていると即座に本人特定され、顔画像などが出回ることになりかねません。
情報社会で犯罪者になるということは、こういうことなのです。
筆者はこうした部分は免れましたが、もし晒されていたら、妻や親兄弟、友人に大きな迷惑をかけていたことでしょう。

懲戒解雇

筆者が釈放されてから数日後、職場から呼び出しがかかりました。
報道されていますので隠し通せるわけもなく、直ちに自宅待機を言い渡されました。
その後、弁護士さんから連絡があり、労基署の人が私と連絡をしたいと言っているとのことで、妻のスマホを借りて話をしました。
この時点で、職場が懲戒解雇にするつもりであることがわかりました。
その翌日、職場の人事担当者から電話で懲戒解雇が決定したことを知らされました。

懲戒解雇ですから、もちろん退職金も支払われることはありません。
退職後にもらえる離職票にも、そのことがわかるような記載がありました。
もちろん、再就職も困難を極めます。
私の場合、実名報道されていますし、ネット検索すれば出てきますので、さらに困難を極めます。

それでも生きているということ

事件を起こすまで、自分としてはそれほど大きな躓きもなく、良くも悪くも普通の人生を送ってきました。
しかし、盗撮という愚かな犯罪行為に手を染めたことで、その普通をことごとく失ってしまいます。
妻には「普通の大人になろう」と言われました。本当にその通りだと思います。

犯罪者である自分、最悪の形で仕事を失った自分、普通なりに積み上げてきたものをぶっ壊してしまった自分、こうした自分を受け入れるのはものすごく精神的に厳しいです。
でも、受け入れないと、同じ過ちを繰り返してしまうと思います。
正直、死んだほうがマシだなと、何回も思います。
それでも、この罪を一生背負って生きようと思います。

こんな私でも必要としてくれる人がいます。心配してくれる人がいます。
事件後に、わざわざラインやメールをくれて励ましてくれた人もいます。
そういう人たちに、自分はちゃんと生きてるよと言い続ける義務があると思うんです。
本当の意味で「普通の大人」に戻れるまで長い時間が必要だと思いますが、このことを忘れずに生きていきたいと思います。